トレーニング指導

2008.04.13
兄貴!本日のトレーニング!
 

ラスト16本から始まった今シーズンの2000本安打への道。 最終カウントダウン4本となった巨人戦(東京ドーム)から中日戦(甲子園)・横浜初戦の計6試合を新聞社の依頼もあり観戦させてもらったのだが、 元々予定のあった島根で達成の瞬間を迎えるとは思わなかった。 以下は依頼をもらったスポーツニッポン社に渡した特別手記の原文である。

・・・・・・2000本安打達成を見届けた瞬間、私の頭の中を走馬灯のように出会いからこれまでの様々な出来事が駆け巡った。中でも今日の偉業に関連する次の言葉が強烈によみがえった。 「言われるとおりにトレーニング続けたら30台の後半位になっても今と同じように動ける? かつての名選手が30代になると動けなくなって若くして引退していく。ああはなりとうない」 入団したての二軍選手とは思えない実に印象的な言葉であった。そして、かつてではなく名選手のまま40歳を迎え、 たった今私の目の前でまた一つの偉大な記録を樹立した。また今回の地元甲子園での足踏みを見て過去の偉業達成時を思い起こさずにはいられなかった。

2000年、カープ時代に史上6人目の3割・30本塁打・30盗塁を達成した際には地元広島で3試合を残しながらも 後一本(この時は本塁打)が出ず最終戦での快挙となったのだが「地元ファンの期待に答えられず悔しくて布団の中で泣いた」と当時述懐していた。 後がない一本と今回のようにいつでも、単打でもいい一本では比較にならないが、それまで順調だったのだが地元で足踏みという同じ状況が思い起こさせたのだろう。 これまでこの記録については意外なほど関心がなかった。つい先日も「特にない」と実にそっけない返事であった。

これまでも何度か「一流選手の証みたいなものじゃないか」などと水を向けても一向に関心を示さなかった。 「30何人目じゃろ?」一昨年達成して以降も継続中のフルイニング連続出場や、他にも金本を語る上で忘れることの出来ない大記録、 連続無併殺打の日本新記録〔1002打席〕がありこれらは唯一、一番の記録だ。No,1が好きなのだ。

昨年中盤にかけてもたついていたタイガースを一時的にも首位に導いた破竹の10連勝のきっかけは鳥谷の緩慢な走塁への金本の叱責にあったと聞く。 この記録で分かるように中身のないパフォーマンスを嫌い全力疾走など基本を大事にしてきた金本ならではの喝はチーム全体を鼓舞させる結果となった。 しかし、オフに手術することとなった半月板損傷はマスコミ・ファンには伏せられていたがその時点で発症しており自らに大きな負担を強いることは自明の理であった中での発言であった。金本の人間性を物語るエピソードであろう。パフォーマンスを嫌うと言えばこんなエピソードがある。 「ホームランを打った時位はサッカーのゴール後ほどじゃなくてもガッツポーズ位したら?」と聞くと「相手の投手に失礼」万事がこんな調子だ。

そんな金本の野球に取り組む真摯な姿勢に心酔して慕い今年からまた同じユニフォームを着ることとなった新井とのホームラン王争いは2005年であった。 プロ入団以来精神面だけでなく技術面でのアドバイスもしていた弟子との争いは最終的に一騎打ちの展開となり43本対40本で弟子に軍配が上がったが 金本のバッティング理論の正しさを証明するとともに度量の大きさを示した。余談だがその新井はホームラン時、たまにバットを放ることがある。 都度金本に「何カッコつけとるんや」と叱られている。

そのホームランへのこだわりは安打数よりも強いから同時達成の期待があった400号本塁打到達の瞬間は より喜びの表情を見せるに違いない。私の手元に過去の400本塁打達成者リストがあるのだがこれは昨年のオフ、 本人が馴染みの担当記者に作らせたものであることからも推察されよう。今回の記録達成について日本を代表する現役ばりばりの立場からすると単なる通過点としてしか考えられないのかも知れないが、金本のように二度の優勝を勝ち取る中で勝負を避けられながらも数を重ね、フルイニングで四番打者として優勝を目指すチームの真の牽引者としての達成者となると唯一とまではいかないが数少ないであろう。 常に向上心・探究心を持ち続け幾度の困難を克服し今もなお進化する金本に真のアスリートの姿を感じるのは私だけではないであろう。 今後もはるかに輝かしい記録を樹立し続けるであろうことは間違いないが、ここは偉大なプロ野球選手の仲間入りをしたということでひとまず喜びを味わってほしい。 秒読みの400本塁打との両記録達成者は長いプロ野球史上でもわずか13人しかいないのだから・・・

アスリート代表平岡洋二